創業から現在の紅中になるまでの軌跡をたどる
紅中は戦後復興期に創業し、昭和・平成・令和と70年以上の月日を経て、ベニヤ板の販売の小さな会社から空間創造企業へと変化し続けてきました。
前回の記事では創業以前の戦前から昭和までの紅中の変化を見てきました。この記事では、平成から今に至るまでその軌跡をたどります。
1990年4月~9月に大阪で行われた「国際花と緑の博覧会」で会場内の交通手段であった、SL義経「ドリームエキスプレス」の客車部分の製作に携わった。
アイデアと実行力で次々と什器開発に乗り出していた紅中に大手病院ベッドメーカーから医療家具での協業の声がかかり、病院や福祉施設などの家具製作の受注をするようになった。ここから紅中の医療家具開発が始まっていく。
花博の義経号
病院家具
かねてより取引のあった大手ハウスメーカーの「壁面の角に45度の角度をつけながら不燃材で覆う」という仕様変更に伴い、「端木桟」という新商品の開発された。端木桟の開発には今までの家具づくりの経験だけでなく、家具メーカーや機械メーカーなどとの協力関係がしっかりしていたことが大きく影響している。
LNG(液化天然ガス)とは天然ガスをマイナス160℃以下に冷却し液体にしたもので、紅中ではLNGの運搬船内部の防熱箱を国内大手重工メーカーや韓国の造船会社向けに協力会社と製造し、販売した。
石膏端木桟
LNG船防熱箱
以前から行っていた大手病院ベッドメーカー向けの床頭台が2万台以上を超えるなど、1970年代から行ってきた紅中のものづくりが認められるようになる。それにより、病院家具だけでなく幼稚園や学習施設向け家具、店舗什器、ホテル・旅館向け家具など幅広い家具づくりを行うようになる。
床頭台
学習施設
店舗什器
当時の社長・中村暢秀(現・名誉会長)はかねてより国産材が有効活用されていないことに強い懸念を持っており、2004(平成16)年から九州地方で独自の燻煙熱処理開発に乗り出す。
そして一定の成果が見られた2006年11月に、千里万博記念公園自然文化園内の鉄鋼館にて発表展示会を行った。
品質の低い合板を再利用して品質の高い合板に変える技術を持っていた株式会社アラセを買収した。この取り組みは合板の新しい可能性と展開の幅につながるだけでなく、合板の知識の豊富な社員、合板を使った商品提案の育成という側面も持っていた。
2015(平成27)年 「ホスペックスジャパン」に出展
2013(平成25)年に紅中のブランディングで知り合ったデザイン会社と協力して2014年11月には東京ビッグサイトで開催された「ジャパンホームショー」では、OSBを素材とした壁材・椅子・テーブルなどの商品を、2015年には医療・福祉分野の「ホスペックジャパン」に女性患者向けの優しい色使いの医療家具を展示した。
くれなゐの森ゆのまえ
SSDの構造材
SSDを使ったログハウス
M&A調印式の様子
JAPAN HOME SHOW 2014 展示ブース
HOSPEX JAPAN2015展示ブース
2018(平成30)年 6月 多摩オフィスをリニューアル
2016(平成28)年に現在の社長である中村晃輔が紅中の長期方針を打ち出す。その方針とは、木材製材や加工による木質素材の開発・販売にとどまらず、資材調達から設計デザイン、プロダクト製作、施工に至るまで空間すべてをプロデュースするというものである。その姿勢を示すものとして京都営業所のリノベーションや多摩オフィスのリニューアルが挙げられる。多摩オフィスからは紅中社員(現・空間デザイン室)がデザインしている。
京都オフィス
多摩オフィス
2019(令和元)年 9月 「空間デザイン室」を新設
グラフィックからプロダクトのデザインに限らず、オフィスや住空間、施設などの幅広い意味での”空間”をデザインする部門である「空間デザイン室」を新たに設立。
2020(令和2)年 9月 アラセ堺工場開設
2020(令和2)年 11月 本社機能を新大阪へ移転
2020(令和2)年 12月 なんばオフィスをリニューアル
現在、各営業部と空間デザイン室が協力して自社オフィスの改装などを行っている。自社オフィス以外にも外部企業のオフィスや一般住居、店舗什器のデザインなど活動の幅を広げている。
2023(令和5)年 IFFT(東京国際家具見本市)出展
2023(令和5)年 3月 麻布オフィスをリニューアル(6F/7F)
2023(令和5)年2月にシステム開発で出会ったJBグループ様のオフィス移転に伴う大規模な内装工事を担当した。
2月末~3月頭に東京ビッグサイトで開催された「IFFT(東京国際家具見本市)」では前出のデザイン会社などと協力し、石の突板のテーブルやレーザー加工のパーテーションなどを展示した。
3月には、東京の麻布にある“東京Venichuビル”を拠点に、10年後を見据えたオフィスづくりを目指す「麻布プロジェクト」の一環として空間デザイン室や各営業部が協力し、麻布オフィスの6階・7階のリノベーションを行った。
歴史を振り返って
以上、2回に渡り紅中がどのようにしてベニヤ板の販売会社から空間創造企業へと変貌していった過程を見てきました。
紅中は時代の変化に合わせ、ものづくりの幅を広げ柔軟な考え方で今の企業形態へと変貌しました。今後も空間創造企業として様々な取り組みを続けていきます。