それ、できますよ
2025.02.04 UP

要望に応えるものづくり
【新聞閲覧台】

新聞に親しんでもらおうと、神戸新聞が兵庫県の30校の学校に木製の新聞閲覧台を寄贈しました。
前回記事では、納品に立ち会い実際の利用者のお声や様子をお届けしました。

今回は、その新聞閲覧台の製作を担当した紅中社員のHさんに今回のものづくりを通しての想いを聞いてきました。

前回記事

使用者のことを考えた工夫

POINT1:きれいに保つために

天板の下に付いている棚は背板との間を2センチ程空けています。
隙間がないと角にほこりが溜まってしまいますが、隙間があることで払って落とし、それを掃除機で掃除できるようにしました。

POINT2:強度を増して損壊を防ぐ

H:学校に寄贈するということはおそらく何年も使用するだろうから、持ちの良いものにできる方法はないかと考え、特に負荷がかかるところには部品を追加して強度を増す工夫をするようにしています。
また、脚を一本にするデザインも案に出たのですが、子供がもたれかかった際に倒れる可能性があったため安全面も考慮して今のデザインになりました。

POINT3:施工を簡単に

H:学校に寄贈した際には、学校職員や教員の方々が組み立てをします。そのため、普段家具の組み立てを滅多にしない素人の方でも簡単にできるようにすることが目標でした。

①パーツを少なくする(統一する)

工具が学校にあるとも限らないので、工具もセットで付けておいたり、一つの工具で組み立てられるようにパーツを統一したり、とにかくパーツを少なくして“わかりやすく”を意識しました。

②説明書をわかりやすくする

わかりやすい説明書を作成したり、私が実際に組み立てている様子を動画に撮って配ったりもしてみました。

依頼者の要望に応える工夫

使用者のことを考えた工夫

POINT1:コストを抑えるための提案

H:神戸新聞さんは今まで家具を寄付するという経験がなく、特注の家具の台数の規模感や価格、新聞閲覧台のサイズや形など検討していました。
そのため都度お話を聞きながら「こんな感じはどうですかね」と提案していく形で進めていきました。
ヒアリングの際に、定番の形を図面に描いてそこから他に追加したい要素や変えていきたいところを詰めていきました。

①素材の提案

こどもたちが触れるものに国産材を使用することは、「直接木に触れることができる・木に興味をもつ・木のことを知ることができる」いわゆる木育の観点でも良いのではないかと提案しました。
天板に国産材、側板は化粧板にすることでコストの要望にもお応えできました。

②パーツを少なくする

ボルトの種類を統一するなど、使うパーツ・材料を減らすことで根本的なコストダウンにつながります。

POINT2:オリジナリティを出す

H:使用する板材によって、見た目も変わってくるのでどの条件に重きを置くのかをヒアリングして提案することを心がけています。

①抑え棒

最初提案した案は棒を差し込むタイプだったのですが、よくあるタイプなのでもう少しオリジナル感を出すことができないかと相談を受けました。
天板に埋め込んだマグネットと棒についたマグネットで新聞を挟むことで風でめくれたり、飛んだりしないように抑えることができる仕様にしました。
操作も簡単なので、誰でも使いやすくなっています。

②天板

今回は「国産の杉板」「コストを抑える」という条件のもと、この板材(フィンガージョイント仕様)を採用しました。いろんな候補から選ぶことができるところも、幅広い取引先様と付き合いがある紅中の強みが活かされている部分ですね。
今回はこの組み方で魅せた天板も、生徒さんたちから「見た目がオシャレ」と言ってもらえた要因になっているのかなと思います。

寄り添い応えるものづくり

いちばんこだわったポイントはどこですか。

H:とにかく神戸新聞さんのお話をたくさん聞いて「こういう方法もあります」「こうするのはどうですか」と弊社から提案するという工程を多く踏ましていただきました。

しっかりヒアリング重ねて、何パターンかを提案して形にしていく。
最終形態の仕上がりももちろんですが、それまでの工程を大事にこだわって取り組みました。

天板にレーザー加工で刻印を入れることや、車いすが入る幅にすることもいただいた条件の中で実現できるように提案しました。
レーザー印字をすることでさらにオリジナリティを出すことが可能です。

今までのものづくりとは「違うな」と感じたポイントを教えてください。

H:今までは家具製作から組み立てまでおこなってから納品まで全て担当していましたが、今回は組み立ての工程は素人が担当する家具ということで意識するポイントが違いましたね。
現場のことを想像して制作することで様々な工夫をしてお届けすることができたと思います。

なので、今回寄贈した学校の方々で「組み立てができなかった」というお声がなかったことがとても嬉しかったです。安心しましたね(笑)
最終的に利用者である学校の生徒さんや先生方が喜んでいる姿を見ることができて嬉しかったです。

 

今後挑戦したいことはありますか。

H:次はこどもたちが組み立てをできるものを考えたいです。
自分たちが使うものを自分たちで組み立てることで、愛着も湧くかなと思うんです。興味をもって使いたくなるようなものを作っていきたいと思います。

2回に渡って、新聞閲覧台についてお届けしました。
紅中にとっても初めての挑戦の部分もありましたが、実際に使用している方々のお顔を見ることができたことで、今後も良いものづくりをしていきたいと改めて感じることができました。

「こんな家具をつくりたい」「こんなことできないか」などなど、なにかご入用の際はお問い合わせください。


取材協力

・神戸新聞

・鶴甲小学校