商品と価値
2025.08.18 UP

進化するワイヤレス充電
技術と製品の最前線
【ベルデザイン】

NEWVOT³で”技術”を学ぼう!

NEWVOT³の3階ではスタイリッシュな空間にするため、コンセントから出るコードなどが極力見えなくする工夫が施されています。そのため基本はポータブルバッテリーを持ち運ぶ仕様になっています。

今回はカウンターの天板に埋め込まれたワイヤレス給電に注目していきましょう。

スマートフォンや家電製品の充電方法が、今、大きく変わろうとしています。
ケーブルに縛られない「ワイヤレス給電」は、利便性だけでなく、空間設計やエネルギー管理の在り方にも革新をもたらしています。
本記事では、ワイヤレス充電技術の仕組みから最新製品「POWER SPOT®」の機能、そしてその応用事例や将来展望までを詳しく紹介します。

今回のインタビューのお相手は、、、

株式会社ベルデザイン
代表取締役CEO 鈴木様(以下敬称略)

POWER SPOT®(パワースポット)

ベルデザインが提供する独自のワイヤレス給電システムを楽しむための”フラッグシップ・モデル”。
NEWVOT³ではカウンターの天板に埋め込んで使用しています。
ケーブルレスで電力供給を可能にし、空間の自由度と利便性を高める次世代型電源ソリューションとして注目です。

これらの実現が可能

・ケーブルレスのスマートな空間づくり
・多様なデバイスによる利便性向上(最大50ワットの送電)
・IoT機能によりデータの取得、利活用
・再エネ活用によりSDGsに貢献

 

鈴木:ワイヤレス給電システム「POWER SPOT®」は、最大50ワットの送電が可能で、スマートフォンのみならず、専用のタンブラーや照明器具など、多様なデバイスへの給電が可能です。
開発中の専用端末を使う事で、ワイヤレス給電非対応のノートPCやタブレット端末にも充電できる仕組みを構築しています。

また、IoT機能を備えており、専用アプリを通じて「いつ・だれが・どこで・どのくらい」利用したかという電力使用データを可視化する事ができます。これにより、電気の利用状況の記録や分析はもちろんのこと、人の動きや滞在時間の把握、空間ごとの効率的なエネルギー管理にも役立つのが大きな特徴です。

POWER SPOT®と再生可能エネルギーを紐付けることで、利用者に再生可能エネルギーとのタッチポイントを提供し、導入施設にとっては、SDGs貢献の取り組みとしてアピールする事もできます。

ワイヤレス給電ってどういう仕組み?

 

VENICHU MAGAZINE編集部(以下、VM):ワイヤレス給電の仕組みを教えてください。

鈴木:ワイヤレス給電の基本原理は「電磁誘導方式」と呼ばれる技術です。
これは、電気エネルギーを磁気エネルギーに変換して空間を通して送るという仕組みで、まるで“見えない磁石”のように電力が飛んでいきます。

送電側には「トランス(変圧器)」と呼ばれる部品があり、ここで電気を磁気に変換します。
この磁気は空間を通って、木材やプラスチックなどの非金属素材を透過することができます。つまり、テーブルの上に機器を置くだけで、ケーブルなしで電力が届くのです。

また、受信側にも同じようなトランスが内蔵されていて、飛んできた磁気を再び電気に変換します。
この仕組みにより、照明器具やタンブラーなどの機器がケーブルレスで動作するようになります。

 

送電側のトランス

VM:なるほど。磁気が飛んでいるんですね!
磁気が飛んでものの近くに電子機器を置くと良くないイメージがあったのですが、、、磁石をICカードとか電子機器と一緒に置くと良くないとか、、、

鈴木:ワイヤレス給電では、送電側と受電側の機器が磁気を通じて通信し、「この機器は充電しても安全か?」を確認する認証プロセスが行われます。

 

VM:ちゃんと確認するシステムが組み込まれているのですね!

鈴木:認証が通った機器に対しては、適切な電力が自動で供給されます。
スマートフォンなら最大15ワット、専用タンブラーなら最大50ワットなど、機器ごとに最適な出力が設定されているため、過電流による故障の心配はありません。

逆に、対応していない機器(たとえばノートパソコンなど)を置いても、認証が通らなければ電力は供給されず、充電は始まりません。
これにより、誤って置いた機器が壊れることを防いでいます。

 

これまでの進化と今後の課題

 

VM:個人的にはワイヤレス給電はまだ一般的に普及しているわけではないと感じています。その原因とはどういったものでしょうか。

鈴木:ワイヤレス給電技術が登場した当初、家具メーカーや大手企業は大きな期待を寄せていました。
各企業がテーブルや空間への埋め込み型給電の導入を試みました。

しかし、当時の技術はまだ未成熟で、位置合わせがシビアで、送電パワーも6ワット程度と低出力
結果として「ケーブルを使った方が早い」という評価になり、導入は一時的なブームで終わってしまいましたね。

 

VM:初期の負のイメージが残り続けているんですね、、、

鈴木:海外では技術改良が進み、欧米では車両向けに数十キロワットのワイヤレス送電が可能になるなど、産業用途での活用が広がっていきました。
ベルデザインのグループ会社ベルニクスも、産業機器向けに最大800ワットの送電を実現するなど、技術的な進化を遂げています。

一方、日本では初期の失敗体験が企業のブレーキとなり、家具や空間への導入が停滞し、「ワイヤレス給電=使いづらい」というイメージが根強く残ってしまったと思いますね。

 

VM:では、最近のワイヤレス給電のイメージはどのように変化したのでしょうか。

鈴木:現在では、送電パワーは15〜50ワットまで向上し、スマートフォンやタンブラー、照明器具などの充電が可能に。
位置合わせの精度も改善され、ケーブルよりも早く充電できるケースもあるほどです。

 

VM:どんどん進化しているということですね!
ベルデザインさんが今思う新たな課題はありますか?

鈴木:送電距離が課題ですね。現在の送電可能距離は約1cm程度です。
なので、家具などに埋め込もうと思うと表面の素材が制約されてしまうんですよね。
現状では木材や大理石などの素材は、3mm程度まで薄くする必要があります。

 

VM:これからの変化が楽しみですね!

鈴木:初期よりかは位置ズレの部分を含めてすごく進化していると思います。位置は多少の慣れが必要ですが(笑)
ユーザーが「置くだけ」で使えるようにするには、さらなる工夫が必要だと思っています。

 

こんな商品もあります!

ベルデザインのワイヤレス給電対応タンブラーは、最大50ワットの電力で飲み物を加熱・保温できるスマートタンブラーです。ケーブル不要で、専用の「POWER SPOT®」に置くだけで動作し、回転操作によって好みの温度に調整可能。最大63度まで設定できる安全設計で、やけどの心配もありません。スマホアプリと連携することで、温度管理や履歴の確認ができます。

さらに、中身が空の場合は加熱を停止し、冷たい飲み物を認識すると自動で加熱を止めるなど、賢い制御機能も搭載。内部には防水対応の小型基板が組み込まれており、食洗器にも耐える設計で、日常使いにも安心です。

ワイヤレス給電は、もう”特別”な技術ではないということがインタビューを通してわかりました。
日常に自然に溶け込む電源として、POWER SPOT®をNEWVOT³でも使用していきたいと思います。


取材協力

株式会社ベルニクス

株式会社ベルデザイン

 

紹介商品

POWER SPOT