ビジネスの種
2025.11.04 UP

紅中も受賞実績あり!
【ウッドデザイン賞】は
どんな賞なの?

「ウッドデザイン賞」とはどのような賞なのかご存知でしょうか?マークは見たことがあるけど、具体的にどういったものが評価され、受賞しているのかまではあまり知られていないかもしれません。
そこで今回は、ウッドデザイン賞の概要やその目的、受賞することで得られるメリットなどを解説します。紅中の受賞実績についてもご紹介しているのでご注目ください!

ウッドデザイン賞とは

ウッドデザイン賞は、木の良さや価値をデザインの力で再構築することを目的として、優れた建築や空間、製品、活動や仕組み等を募集・評価し、表彰する顕彰制度です。
2015年にスタートしたこの顕彰制度の背景には、戦後造成した人工林が本格的な利用期を迎えていることが関係しています。適正な森林整備を進めていくためには、国産材の積極的な利用を促進していくことが重要です。
ウッドデザイン賞によって、木のある豊かな暮らしが普及・発展することで、木材利用の活性化を促す効果が期待されています。

趣旨と受賞対象

ウッドデザイン賞の趣旨

本賞では、木を使うことによって社会課題の解決を目指す活動を「ウッドデザイン」と定義しています。ウッドデザイン賞を通じて多様な知見やアイデア・ネットワークを持つ人たちが集い、新たな時代の価値づくりに参画してもらうことが本賞の最大の目的です。ウッドデザインの普及・定着を通して、持続可能な社会を共に実現していくことが重要だと考えられています。

受賞対象

建築・空間・建材・木製品といった「製品」だけではなく、コミュニケーション・技術・調査・研究といった「取組」も含め、木に関するあらゆるモノ・コトが受賞対象となります。また、応募は企業のみならず、個人、団体、自治体、学校、保育園、医療機関、研究機関等どのような形でも可能です。

審査と3つの視点

審査会において、ウッドデザイン賞としての共通する評価ポイントを満たす作品はすべて「入賞」となり、ウッドデザイン賞が付与されます。あわせて、ウッドデザイン賞の趣旨である「木を使うことによる社会課題の解決」にどのように資するかが、3つのデザインの視点で評価されます。

3つのデザインの視点は、以下の3部門で構成されます。第一次審査・第二次審査を経て、各部門の趣旨に照らして特に優れていると評価されたモノ・コトは、各部門ごとに選出される「優秀賞」「奨励賞」の対象となります。

ライフスタイルデザイン部門

●住まい、オフィス、店舗、学校等の多様なシーンに応じて、木を活かして機能性・利便性を高めているモノ・コト。
●従来は使われていなかった新領域で木材を活用し、機能性やデザインの向上に寄与している建築、空間、木製品など。
●メディアや店頭、空間を活用したプロモーション等で、消費者の木のある暮らしを様々な形で提案する取組など。

ハートフルデザイン部門

●木を活かすことで快適性を高め、心身のリラックスやコミュニケーションの促進等により、Well-beingの実現や創造性の創出等が期待されるモノ・コト。
●質感・温もり・癒し効果など木の持つ特性・特徴を活かした、リラックス効果や健康の向上に寄与しているモノ・コト。
●作り手や担い手の想いやこだわりなどをうまく伝えているモノ・コト。

ソーシャルデザイン部門

●持続可能な森林管理や地域経済の活性化、価値の還元に寄与する木材利用、ストーリー性の付与、林業と福祉の連携など関わりの創出等で木材利用の高付加価値化に寄与するモノ・コト。
●資源やエネルギーとしての木の活用を通じて、持続可能な森林利用の仕組みをつくりだしているモノ・コト。
●木の素晴らしさ、木と触れ合う楽しさ、望むべき森林のあり方等を多様な視点で伝え、普及啓発や人材育成に寄与しているモノ・コト。

紅中も受賞しています ~ソーシャルデザイン部門 技術・建材分野にて受賞~

SSD球磨桧Jポスト

<評価のポイント>
住宅等建物の構造材需要を喚起する優良なビジネスモデルを持つ製品である。国産材では希少商材であるJAS機械等級区分構造用製材として、大径木問題にも対応する。付加価値を生みつつ価格の面でも競争力のあるものになっている。

SSD球磨杉 J ビーム

<評価のポイント>
早くからJAS認定を意識し、品質の重要性と社会ニーズを視野に製品開発に取り組んだ。市場が国産木材に移行していくよいモデルになる。

~ソーシャルデザイン部門 建築・空間分野にて受賞~

SSDコンセプトハウス「すがおの家」&「ナチュロジーハウス」

<評価のポイント>
大径部位を独自の製造法で利活用するSSD球磨杉・桧のJポスト&ビームを使った家である。森林を取り巻く社会課題への解決策として有効な取組。増加を続ける大径材の有効活用によって、施主にも山側にもメリットをもたらす好例である。

丘の上のグループホーム
 

<評価のポイント>
木造住宅で過ごした経験のある人にとって、施設が家のような存在であることは重要な視点に違いない。安全性や快適性の面でもメリットある木造建築だが、地域との交流にも気配りされた空間構成がよい。

受賞するとどんなメリットが?

受賞者には、様々な広報・PRの場が提供されるとともに、生産から消費に関わる人同士のマッチングや、次のイノベーションに繋がる活動も展開されます。

エコプロにおける表彰及び展示による広報

最優秀賞等の表彰、及びウッドデザイン賞の受賞作品の展示が「エコプロ」(環境配慮型製品・サービスに関する一般向け展示会)にておこなわれます。同展では受賞者によるプレゼンテーション、交流会なども企画されます。

ウッドデザイン賞受賞作品データベースへの掲載

2015年からの全ての受賞作品(WOOD DESIGN AWARD)が検索できるデータベースに、作品概要、受賞団体へのリンク、連絡先、入手先などオンラインショップ、作品詳細などへのリンクが表示されます。

展示会での広報

各地域で実施される展示会、交流会等で受賞作品の展示及びPRがおこなわれます。

日本ウッドデザイン協会活動の連携による広報PRの推進

日本ウッドデザイン協会の各活動と連携して、受賞作品の開発ストーリーや特徴を伝える各種の企画が実施されます。

ウッドデザイン賞は、優れた木づかいの事例を発掘・表彰するだけでなく、受賞作品を消費者等に広く周知することによって、木材利用の活性化や地方創生、ひいては持続可能な社会の実現に繋げていくことを目指しています。
みなさんも身の回りでウッドデザイン賞マークを見かけた際には、その受賞経緯を調べてみてはいかがでしょうか。まず知ることで、目指すべき未来へ一歩近づくことになるでしょう。

参考文献
ウッドデザイン賞|JAPAN WOOD DESIGN AWARD 2024