ビジネスの種
2026.04.27 UP

「木育」って何?
子育てに取り入れる
メリットと実践方法を紹介

木育(もくいく)とは?

木育とは、子どもをはじめとするすべての人が『木とふれあい、木に学び、木と生きる』取組です。

2004年に北海道庁が主体となって始動したプロジェクトで、子どもの頃から木を身近に使っていくことを通じて、人と、木や森とのかかわりを主体的に考えられる豊かな心を育てたい、という想いが込められています。
また、林野庁では「木づかい運動」として木材利用の普及啓発が推進されており、木育はその教育活動の一環としても取り組まれています。

今、なぜ木育が注目されているのか?

木育が発足した背景には、身近な資源でありながら暮らしに生かしきれていない森林資源問題や、森林保全活動に関する世間の不十分な認識など、さまざまな問題があります。
木育は、森林保全や持続可能な資源利用について学ぶことで、子どもたちが自ら環境保護に目を向け、持続可能な未来を築いていくための意識を育てるために設計されています。
環境問題への関心が世界的に高まる中で、持続可能な社会づくりに必要な価値観を育む木育は、世界的にも注目される教育手法となっています。

木育がもたらす効果 環境問題への意識を育てるだけでなく、木育は子どもたちの心身の発達にも多くの効果をもたらします

◎五感を使い豊かな感性を育む

木製玩具や木の道具などにふれ、遊ぶことで、自然素材ならではの質感や温度、香りなどを五感で感じ取ることができます。木とのふれあいの中で心地よい刺激を受けた子どもの感性は、のびのびと豊かに育つことでしょう。

◎情緒が安定し心が育つ

自然の中で遊ぶことで、子どもの心身にリラックス効果を与えます。木から分泌される「フィトンチッド」という成分には心を落ち着かせる働きがあり、特に幼い子どもの情緒安定に貢献してくれます。また、木の命にふれることで、自然や人に対する思いやりや優しさも育まれていきます。

◎共感しあい社会性が身に着く

身近な親や先生、友達と一緒に、木で遊び・学び・モノをつくる体験を通じて、楽しさや喜びを実感し、共感を分かち合う体験ができます。共感することで関心が深まり、木に対する好奇心が生まれ、親や先生に教えてもらおうとします。そして相手の話に耳を傾け、コミュニケーションを自然と覚えることで社会性が培われます。

◎創造力と問題解決能力の向上

木製玩具はシンプルなデザインのものが多く、子どもが自分自身で遊び方を考えることで創造力を刺激します。木のブロックで自分のイメージを形にする遊びは、アイデアを表現する力につながるでしょう。また、木を使った工作やDIYの活動では、自らの手で何かを作り上げる達成感を味わうことができます。自信を育む要素となり、問題解決能力も高まります。

木育の取り組み事例 実際にどのような取り組みがおこなわれているのか、全国の事例をピックアップしてご紹介します

北海道・木育フェスタ - 北海道

関係市町村や団体と連携しながら、道民参加による協働の森づくりを進めるためのイベントです。2012年にスタートし、「北海道植樹祭」や「道民森づくりの集い」など、一連のイベントを一体的に「北海道・木育フェスタ」として定期開催しています。植樹や木工クラフトなどの体験ができ、子どもから大人まで幅広い年齢層の方に楽しんでもらえる内容になっています。

木望のまちプロジェクト - 福井県

森林率92%の福井県池田町が仕掛ける、まち全体のプロジェクトです。森や木の資源や素材を利活用することで、子どもたちを育む町づくりを目指しています。山林をアトラクションにした「Tree Picnic Adventure IKEDA」では、樹上に広がる森のジャングルジムや、森のお仕事体験、教育旅行プログラムなど、山に出会い、木や自然から学ぶことの楽しさを知ることができる仕組みが詰まっています。

アベマキ学校机プロジェクト - 岐阜県

岐阜県美濃加茂市が掲げる「里山千年構想」に基づいた、里山資源活用事業の1つです。地域の里山に群生しているアベマキを有効活用することとし、その堅さを活かして、小学校の学校机の天板を制作しています。全国的にも珍しいのが、高学年生が実際に伐採現場や製材所などの視察をおこなった上で天板づくりをしているという点です。完成した天板は、6年生がその過程を伝えながら新1年生に贈呈するという仕組み化にも成功しています。

木育を取り入れる方法 家庭で手軽に実践できる取り組みや、おすすめの体験・スポーツなどを具体的にご紹介します

木製のおもちゃで遊ぶ

都市部であれば森林に触れる機会が少なく、なかなか木と接点がもてませんが、木製おもちゃを日常生活に取り入れることで、子どもたちが木に触れる機会を増やすことができます。
木が身近な存在であるという感覚が養われるため、森林とのつながりを得るという意味でも、木製おもちゃで遊ぶことは、木育として取り入れやすい方法の一つと言えます。

家の中に木製の家具や生活雑貨を取り入れる

木を使った家具や雑貨を生活空間に取り入れることで、子どもたちがいつでも木とふれあえる環境が整います。
こうした木を暮らしに取り入れる行動は「ウッド・チェンジ」と呼ばれ、林野庁で推進されています。ウッド・チェンジとは、身の回りのものを木に変える、木を暮らしに取り入れる、建築物を木造・木質化するなど、木の利用を通じて持続可能な社会へチェンジする行動を指します。

イベントやワークショップへの参加

全国各地で木育に関するイベントやワークショップが開催されています。
家庭規模では実施できない木育体験や学習が可能で、さらに様々な世代の人たちとの交流の機会も得られます。普段の家庭環境や学校生活では出会えないコミュニティとの関わりが生まれ、子どもの活動領域を広げることができ、森への興味関心がより一層深まるきっかけにもなります。

木材を使ったスポーツ体験

木の道具を使ったスポーツとしては「モルック」が有名です。木の棒を投げて木製のピンを倒すスポーツで、ルールが簡単なため小さな子どもでも楽しく遊ぶことができます。
全身を動かしながら集中力も鍛えられ、達成感や成功体験を感じることができるでしょう。
また、けん玉、羽子板などの日本の伝統的な遊びも、家庭でも気軽に取り入れることができます。

木育は、木を通じて子どもの心を豊かに育みながら、子どもたち自身が未来を作るきっかけとなる取り組みであることがわかりました。また、大人にとっても子どもたちの未来を考える第一歩となる、重要な要素なのではないでしょうか。
家庭でもできる木育の実践方法を取り入れながら、日頃からわたしたちが関わる環境に目を向けることが重要です。

参考文献
北海道の『木育(もくいく)』 – 水産林務部森林海洋環境局森林海洋環境課
福井県池田町 木望の森プロジェクト
Tree Picnic Adventure IKEDA(ツリーピクニックアドベンチャー いけだ)
資材活用の難しいアベマキを学習机に。 | みのかも時間