秋は喘息(ぜんそく)が悪化しやすい季節
夏が終わり、だんだんと過ごしやすくなってくる秋。
美しい自然や豊かな食べ物など魅力がたくさんですが、実は一年を通してもっとも喘息が悪化しやすい季節、といわれていることをご存知ですか?
喘息は子どもだけの病気ではないんです
ゼーゼー、ヒューヒューといった呼吸や、咳、息苦しさなどが生じる喘息。
子どもの病気というイメージが強いかもしれませんが、大人になってから発症する方も珍しくありません。特に40代〜60代での発症割合が高いというデータもあります。
喘息の発作を起こすと日常生活にも支障をきたしてしまうため、とてもやっかいですよね。
今回は、喘息が秋に起こりやすい原因と、住まいにおける対策方法をご紹介していきます。
・気候の変化が激しい
・空気の乾燥
・アレルゲンの増加
ここを見直そう!住まいの対策方法
・体温調整
・乾燥対策
・ダニ、カビ対策
リフォームで根本的な見直しも
・結露対策がカギ
・断熱+防湿がポイント
・フローリングへの張り替えも◎
なぜ秋に喘息の発症が多いの? 発作を引き起こす"誘発因子"が秋には多いんです!
そもそも喘息は、慢性的に気道の炎症が起きていますが、発作時以外はほとんど自覚症状がありません。
何らかのきっかけで気道の炎症が悪化すると、喘息発作として自覚症状が現れます。その誘発因子が秋には多い、というわけです。
喘息を引き起こす三大因子
気候の変化が激しい
喘息は気温や気圧の影響を受けやすい病気です。
比較的気候が安定する夏が終わり、秋口は、朝晩の気温が日中に比べて急激に下がります。毎日の気温の変化が大きいことも影響し、前日と比較して3℃以上の気温低下があった時に、発作が起きやすいといわれています。
また、台風による気圧の変化も原因のひとつと考えられています。
空気の乾燥
乾燥した空気は気管支などへの刺激が強く、喘息発作の大きな要因となります。
喉や気管支の粘膜が乾燥すると、粘膜の防御機能が低下し、異物からのダメージを受けやすい状態になります。その結果として、炎症が起こるリスクが高まってしまい、発作も出やすくなります。
アレルゲンの増加
室内にあるアレルゲン(ダニやハウスダスト、カビなど)を吸い込むことで、喘息の発作が起こりやすくなります。
なかでもダニは、気温と湿度の上がる5〜7月にかけて繁殖し、真夏を過ぎた頃に死滅していきます。そのため、ダニのフンや死骸が蓄積する秋は、ダニアレルギーによる喘息が増えやすい時期とされています。
大きく3つの因子をあげましたが、どれかひとつでなく、いくつかの因子が絡まり合って発症することがほとんどです。
そのため、普段から発作のきっかけとなる刺激をできるだけ遠ざけることが、予防へとつながります。
ここを見直そう!住まいの対策方法 今すぐ実践できる3つのポイント
1.体温調整
体温を一定に保つよう心がけましょう。
外出時に薄手の洋服を重ね着しておくと、衣類による温度調整がしやすくなります。
室内で過ごす時は、エアコンで温度を一定にコントロールするのが理想です。その際、室外と室内の温度差をつけすぎないように注意が必要です。暑い屋外からクーラーの効いた部屋に入ると、冷たい空気が気道に流れ込み、気道がその温度変化についていけないために咳が出ることがあります。また、エアコンのフィルターにはアレルゲンとなるホコリやカビが発生しやすいので、定期的に掃除しましょう。
2.乾燥対策
室内の乾燥を防ぐ
室内の理想の湿度は50~60%といわれています。
湿度は高すぎてもダニやカビの発生の原因になるため、注意が必要です。
加湿器を使用したり、洗濯物を部屋干しにしたり、浴槽に水をはった状態で浴室の扉を開けておいたり、方法はさまざまです。
ただし、加湿器の水タンクにはバクテリアやカビが繁殖する可能性があるので、加湿器を使用する際はタンクの掃除をこまめにするように心がけましょう。
喉の粘膜の潤いを保つ
水分をたっぷり補給するなど、喉そのものの潤いを保つことはとても重要です。水分補給がしづらい状況のときには、のど飴やトローチを使用するのも効果的です。
また、こまめにうがいをすることで、喉の粘膜を保湿するだけではなく、粘膜に付着した細菌やウイルスを取り除くことができます。
マスクの着用も、吐いた息に含まれる水分が外に逃げず、マスク内側の湿度が上がるため、喉の粘膜の保護に効果的です。それだけではなく、マスクをすることで乾燥した空気の直接的な刺激を和らげることができます。
3.カビ、ダニ対策
湿度が高く空気がこもりがちな室内は、カビやダニにとって格好のすみかです。
ダニはホコリの栄養分をエサとするので、布団やカーペット、布製のソファーなどには注意が必要です。こまめに掃除や換気をし、寝具やクッションはなるべく丸洗いが可能なものを使うなど、室内環境をクリーンに保つことを心がけてください。布団は週に1、2回は干して、掃除機もかけるようにしましょう。
ハウスダスト対策を根本的に見直すなら
リフォームもおすすめです! ハウスダストの原因となる、カビやダニの生育を抑えることが重要
結露対策がカギ
カビやダニは湿度60%以上の高温多湿の環境を好むため、室内の湿度を適正に保つ工夫が必要になってきます。ここで特に大切なのが、結露対策です。
窓付近の結露は、二重窓を設置したり、樹脂製サッシなど結露しにくい材質にしたりすることである程度防ぐことができます。樹脂は熱伝導率が低いため、外気の影響を受けにくく、室内の温度を一定に保つのにも役立ちます。
断熱+防湿がポイント
気密性と断熱性能の高い住宅は、室温だけではなく湿度も一定に保ちやすいため、結露の発生を抑える環境を作り出してくれます。
ただ一方で、断熱材に隙間ができた場合に「内部結露」が発生しやすくなるため、注意が必要です。内部結露とは、室内の空気が壁の中に侵入し、断熱材の内部で外気との温度差によって結露する現象です。
内部結露を防ぐためには、断熱材を隙間なく設置することはもちろんですが、断熱材自体に防湿フィルムを施工することでも、湿気の侵入を防ぐことができます。
フローリングへの張り替えも◎
カビ・ダニの温床となるカーペットや畳から、フローリングへ張り替えるのも有効な対策です。床暖房を導入すれば冬でも暖かいため、ラグやソファがなくても快適に過ごすことができます。掃除もしやすくなり、ハウスダストをため込まない習慣を作ることができます。
\ストレスフリーな生活も大切です/
秋に喘息リスクが高まる原因と対策をご紹介しましたが、過度のストレスも自律神経やホルモンのバランスを崩し、喘息を誘発することがあります。睡眠や休養を十分とり、ストレスをため込まないようにしましょう。
特に季節の変わり目は疲れも出やすい時期。適度な運動など、自分なりのストレス解消法を見つけることも大切な対策です。
参考文献
なぜ秋は咳が出やすいのか? 季節の変わり目は喘息に注意!|スマートドック | 健康コラム
急な温度変化による咳やぜんそくに要注意!季節の変化によるアレルギーの原因と対策|オムロン ヘルスケア
【医師監修】喘息の発作は秋に起こりやすい?予防のためにできることは? | 医師が作る医療情報メディア
【薬剤師が解説】カビやダニを防ぎ、家族の健康を守るリフォームのポイント | 暮らしのこれから