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2024.05.16 UP

人工林の高齢化問題を考える
間伐材・大径木の活用方法

日本の森林が高齢化していることを知っていますか?

国内の人工林の5割以上が収穫適齢期(10齢級/46年生以上)を超えており、本格的な利用期を迎えています。(グラフ参照※1)人工林の高齢化が進むと二酸化炭素の吸収量が低下してしまいます。
また、高齢化した木が増加し、利用するのが難しい大径木が増えるも問題のひとつです。

高齢化が進んだ人工林の問題を解決するには間伐を行い、積極的に若い木を増やしていくことが必要です。

間伐材の利用促進

そもそも間伐が必要な理由とは

間伐を行わなければ過密な森林になってしまい、樹木はお互いの成長を阻害し、形質不良(幹が細く長い木)になります。また、陽光が差し込みにくくなってしまうため下草が育たず土地がやせていき、香水による土壌流出が生じる危険性があります。

より良い木を育てるためには間伐が必要ですが、進めるにつれて間伐材が増えていくため利用方法を考えなければなりません。

現在、未利用の間伐材の主な利用方法としてペレットやバイオマス発電が多く見られますが、今回は間伐材を他の方法で利用している商品についてご紹介します!

 

国産材木粉活用素材「プラスッド」

プラスッド/フクビ化学工業株式会社

人工(再生木)木材プラスッドはABSなどのスチレン系プラスチックと木粉を合わせたウッドデッキ材やルーバー材で、「自己消火性がある」「剛性や耐久性が高い」などの特徴があります。

プラスッドは福井県坂井森林組合で回収した間伐材の木粉を素材として使用しています。
「腐りにくい」「変色が少ない」「CO2固定量の表示が可能」などの点から建物外部の木質化や環境への配慮面でも適しています。
間伐材を大量に使用可能で、木材としてCO2を40~50年程固定することが可能です。そのためカーボンニュートラル実現の点でもおすすめしたい商品です。

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大径木の利用促進

活用が進まない問題点とは

製材面が大きくなればなるほど木材乾燥の難易度は上がります。木材の品質を決める要素の中でも”乾燥”は重要な点です。乾燥が十分でないと、寸法が安定せず歪みが生じやすくなったり、腐朽の原因となったりします。

つまり、強度を増した品質の良い木材には乾燥が大切なため、乾燥が難しい大径木は活用が余り進んでいないのです。

今回は、独自の乾燥方法で大径木の有効活用を可能にした商品をご紹介します!

 

JAS機械等級区分構造用製材「SSD」

SSD/SSD Project

日本三大急流の一つ、球磨川の源流がある熊本県奥球磨地域。
この森で大きく育った球磨杉・球磨桧を独自開発の熱処理技術で製材した国産材です。

大径丸太に燻煙ガスを活用した熱処理を施す技術を開発。丸太の状態での熱処理により木材の内部成長応力を予め緩和させることで、製材時の反り曲がりを抑制。大径材を有効活用した高効率な芯去り製材法の確立により、現実的価格での提供を可能にしました。

元玉大径丸太の外周部からは、節や干割れの無い美しい芯去り材が採取できます。

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現在の日本の森林では様々な問題があります。
ですが、その問題を解決するために多くの企業が元気な森林を復活させるプロジェクトを実施したり、商品を開発したり働きかけています。
紅中でもそのような取り組みができるよう、今後も考え続けていきたいと思います。

齢級とは
樹木を、齢によって分けた階級。

参考資料

林野庁ホームページ

※1:森林資源の現状/樹種別齢級別面積(令和4年3月31日現在) | 林野庁