ウッドショックはどうなった?
2021年3月頃からよく目にするようになった「ウッドショック」。
木材の価格が高騰し資材不足で工期が遅れるなど社会に様々な影響を及ぼしました。
そんな「ウッドショック」が叫ばれ始めてから約2年が経った今、どのようになっているのでしょうか。
現場をよく知る紅中社員に現状をインタビューしてみました。
Q1 ウッドショックが始まってから一番対処に困った事ことを教えてください。
Q2 それを解決するためにどのようなことをしましたか?
Q3 今対処に困っていることを教えてください。
関東地方
第四営業部 Wさん
普段のお仕事は、住宅建具メーカーの工場へLVLの納入や、壁・床などに使われる構造用合板を建設現場に納入をしています。
Q1:一番困った事
構造用針葉樹合板の仕入れがとても難しく、納期に間に合わせるために調整するのが大変でした。
Q2:解決方法
得意先や・メーカーの方と後々必要になる材料の枚数などの情報を2~3か月単位で共有し材料を確保し、納期の遅れや欠品が起きないように努力しました。
Q3:今困っている事
2023年以降の合板価格が下がることを予想すると、円安等の影響で価格が高くなった在庫を早急に販売し、在庫の回転率を上げて適正な在庫価格にしなければいけないことです。
第三営業部 Yさん
普段のお仕事は、梱包業者やトラックの荷台を作る会社(架装メーカー)へ輸入合板の販売をしています。
Q1:一番困った事
合板は仕入れるたびに単価が上がるので常に価格改定を行わないといけない状況だったが、取引先との値上げ交渉は毎月定期的に行われないので、当社の仕入は毎回上がるが、客先へは数か月に一度のペースで価格改定を認めてもらうため、当社の利益を確保するのに苦戦しました。
Q2:解決方法
合板の輸入先の状況を早めに把握し、お客様には事前にアナウンスして今後の動向を説明した。時には私見を織り交ぜながら今後の予想や私の供給面や価格に対する考え方を説明し理解していただけるように努力しました。
Q3:今困っている事
輸入合板の在庫が港で停滞しており倉庫キャパを圧迫しており、ほしい合板を発注したくても、それを入れるための倉庫が無いという状況で困っています。つまり、合板はいつでも発注できるが、保管場所が無いので買えないのと同じ。という状況です。
中部地方
第四営業部 Nさん
普段のお仕事は、病院やホテル・旅館向けの家具を製造・販売したり、家具などの製造メーカーへ合板や繊維板などを販売しています。
Q1:一番困った事
値上げが何度も続いていたことです。値上げ交渉をした直後に次の値上げが起こり、ずっと値上げ交渉を続けなければいけませんでした。短期間に何度も値上げすることは今までなかったので、お客様の理解を得るのが難しかったです。
Q2:解決方法
お客様に対し、詳細な情報を共有することで今の状況を理解していただけるように努めました。そのために、仕入れ先には情報をすぐにいただけるように連絡を密にし、新聞や社内からの情報も積極的に収集しました。
さらに、値上げ交渉の間に仕入れ価格が上がることを防ぐため、素材の価格が上がる直前に在庫に余裕が持てるように仕入れを強化しました。
Q3:今困っている事
今後市場に出回る商品の価格が、現在在庫として手元にある商品の価格よりも下回るのではないかと不安です。
第三営業部 Kさん
普段のお仕事は、トラックの荷台を作る会社(架装メーカー)や、梱包用木箱やパレットを作っている会社、車両メーカー向けに輸入合板の販売しています。
Q1:一番困った事
値上げの頻度が多く、お客様にどうして値段が上がるのか説明するための資料作りや情報収集が大変でした。また、値上げをしても他の会社が自社よりも安い値段で売りに来ている場合があって本当に苦しかったです。
Q2:解決方法
先々の成り行きを予想したり、質の高い情報を集めてお客様との関係の再構築に尽力しました。そのほかにも、端材を有効活用して材料を切らすことのないように調整したり、値段を調整したりして紅中だからこそできる価値の提供に努めました。
Q3:今困っている事
質は悪くないが、色が少し違うなどで売れなかった輸入合板(ラワン合板)などが在庫としてあり、売り先を探すことに困っています。
関西・九州地方
商品企画担当 Aさん
普段のお仕事は、大手ハウスメーカーや建材メーカー向けに合板の販売や、合板の加工をしています。
Q1:一番困った事
輸入合板と国産合板のどちらも「モノ不足」と「急激な値上げ」という二重苦な状況が1年間続きました。
特に加工製品の値上げ交渉が大変で、仕入れ値は毎月上がるが値上げ交渉は毎月するわけでなく、値上げ交渉が成立した時には仕入れ値が想定した以上に上がっているというイタチごっこが何か月も続く状態でとても大変でした。
Q2:解決方法
口頭での説明や文書だけでは値上げに納得してくれないお客様に対して、木材新聞や業界誌などの第三者が出した情報を根拠資料として提出したり、合板の接着剤の値上がりの根拠である原油価格の変化のグラフを提出するなどしました。どうしても値上げに納得してくれない会社には、受注を断らざるを得ない話合いをした事もありました。
Q3:今困っている事
輸入・国産関係なく合板の相場価格が下降傾向なので、紅中で今在庫としている合板を早く販売しなければいけないことです。
円安で高く買った合板を、利益が出せる価格で販売しないといけないことが課題です。
商品企画担当 Iさん
普段のお仕事はキッチンやお風呂に使われる合板、精密機械などの輸出に使われる梱包材、工場で使われるパレット用の木材の販売をしています。
Q1:一番困った事
海外の向上のロックダウンやコロナウイルスによる人手不足やコンテナ船の不足などの影響で、輸入木材の入荷が遅れてしまいお客様との約束納期に遅れてしまい迷惑をかけたことです。
Q2:解決方法
日々状況がどのように変化しているかを、仕入れ業者に逐一確認しました。確認した情報を迅速にお客様に伝え、後々の資材輸入方法などの打ち合わせをしました。
Q3:今困っている事
為替レートの変動が大きすぎるため、輸入品を発注するタイミングが掴み辛いことです。
第三営業部 Hさん
普段のお仕事は、キッチンやお風呂などの住宅設備メーカー、架装メーカー、パレット製造業者、仮設業者、及び輸出梱包業者へ合板を中心とした木質資材の販売をしています。
Q1:一番困った事
商品を輸入してなんぼの商売の中、船が確保できない・コンテナが足りない・いつ日本に入ってくるか分からないの三重苦の状態には大変悩まされました。さらに、ガソリンの値段が高くなったことなどが影響して、商品を輸入する際にかかる船運賃が追加で発生することが頻発しました。しかもその追加の船運賃が日本に入港するまで分からないということにも本当に悩まされました。
Q2:解決方法
「ウッドショック」といわれ始めていた時、「ウッドショック」という言葉だけが独り歩きしていて、お客様のほとんどは何が起きているのか把握されていなかった。そのため、いち早く情報を集めて内容を精査し、誰にでも分かるような説明書を作って、お互いに事の成り行きと状況を的確に把握・理解できるように努めました。
Q3:今困っている事
為替レートがジェットコースターのように乱高下していて、お客様の商品を注文するにも価格が読みにくい事です。
今後の価格動向に関して
▮輸入合板
アメリカの利上げによって新築着工戸数が減少したことなどの影響で、外国産合板の需要も減少しており価格の下落が考えられます。実際に、合板の生産地である中国やベトナム、インドネシア、マレーシアなどでは現地での合板価格が下降傾向にあります。さらに円高傾向や船賃が安くなっていることも影響し、価格は下がるとの意見が多くなっています。
▮国産合板
住宅着工件数の減少により、合板自体の需要が減少しており、価格は下落する可能性があります。
国内の合板メーカーも減産を行い価格を下げない努力をしてはいますが、パーチクルボードなどの供給が安定した場合、構造用面材のシェアの取り合いになるため、価格は下がるとの意見が多くなっています。
▮LVL関連
輸入合板の状況と同じように、需要は減る傾向を見せているが、LVLの生産国のひとつである中国でゼロコロナ政策が緩和された事や、生産国である中国やベトナムにおけるLVLの現地価格が下降傾向にあることから、価格は下がるとの意見が多くなっています。
▮繊維板
アメリカや中国などの需要が落ち着いたことから、在庫がない状況からは脱却しつつあります。しかし、繊維板に使われている接着剤の原材料は石油であり、石油価格が高止まりしていることから繊維板自体の価格は変化しないとの意見が多くなっています。
また、日本国内においてパーチクルボードの新工場が設立したことから、商品の供給は安定すると考えられます。