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2022.03.28 UP

森林整備活動で
土砂災害を防ぐ
≪くれなゐの森 こうべ六甲≫

増加する土砂災害

近年、日本では大型の台風や過去に経験のない記録的な大雨が多発したことにより、各地で大規模な土砂災害が発生しています。「土砂災害」とは雨や地震などに伴い土石流、がけ崩れ、地すべりのように土砂により引き起こされる災害のことを言います。
現在の日本では、土砂災害への様々な対策が行われています。

砂防とは

土砂災害を防止・軽減するための対策のひとつが「砂防」です。
土石流が発生するおそれのある箇所を砂防指定地に指定し、災害をもたらす土砂の発生や流出を抑制するため、土砂の掘削・盛土や立木の伐採などの制限と併せて、必要に応じて対策工(砂防えん堤・渓流保全工・砂溜工 等)を整備します。
国土面積の7割を山地が占める日本では山に囲まれた谷地やその下流で開けた扇状地、また火山周辺のなだらかな台地が生活や産業活動の場として利用されており、このような場を守る「砂防」という技術は日本においてとくに著しく発展、普及しています。このため“sabo”という言葉は世界でも通用する言葉となっています。

砂防の現状

社会や自然環境の移り変わりと共に、砂防の仕事も少しずつ変化しています。
現在の砂防では、砂防えん堤や荒れた山に木を植えたりする工事だけにとどまらず、住民に土砂災害の危険がある場所を公表したり、警戒避難体制を整備して、総合的な土砂災害対策に取り組んでいます。
また、自然環境をこわさないよう、砂防施設のまわりに木を植えたり、自然の生きもののことを考えて、自然と一体となった砂防事業を行っています。六甲山地で行われている「六甲山系グリーンベルト整備事業」も、こうした仕事の一つです。

六甲山系グリーンベルト整備事業

平成7年1月に発生した兵庫県南部地震により、六甲山地では山の斜面崩壊や地割れが多数発生しました。
地震によってゆるんだ地盤は、今後の大雨などによる土砂災害の危険性があるため、土砂災害の防止、無秩序な市街地の拡大防止を図り、安全に自然と親しめる場の提供を目的として、六甲山地を一連の樹林帯(グリーンベルト)として守り育て、緑豊かな都市環境、景観などをつくり出そうという「六甲山系グリーンベルト整備事業」が開始されました。

みんなの森づくり≪森の世話人≫

2004年より市民団体、企業との森づくりを実施され、干ばつ・下草刈り・枝打ち・つる切り・植樹まどの樹林整備を行っています。2022年1月現在で46の市民団体・企業が参加しています。
紅中では「森の世話人」として事業に参加し、植樹などの活動を行っています。
木のない山は雨などによって斜面が崩れる危険が大きいので、植樹をして地表の土砂がくずれるのをおさえたりすることもあるんです。

整備目標と内容
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良好な都市環境、風致景観、生態系および種の
多様性の保全・育成

ただ保全するだけでなく、様々な種類、樹齢の木々が育つ豊かな山をつくる。(樹林整備)

健全なレクリエーションの場の提供

人々が安全に自然と親しめるよう、樹林の整備・管理を進める。(樹林整備)

土砂災害の防止

急な斜面を固定して、崩れるのを防ぐ。 構造物をつくる際も極力樹林を保全し、 斜面の安定を図る。
(施設整備)

都市のスプロール化防止

山際への無秩序な市街地の拡大を 防ぐ。(公有地化)
急斜面やそのすぐ真下に住宅が建ちならんでいるところも多くなり、土砂災害の危険性はますます高くなるため、防止を進めている。

わたしたちにできること

くれなゐの森 こうべ六甲

1958年に紅中神戸店を開設して以来、長くお世話になっている港町こうべに森林保全活動で貢献したいという想いを持っていました。森林保全活動を積極的に行っていくうえで「砂防」という観点で六甲山系グリーンベルト整備事業によって土砂災害への対策・緑豊かな都市環境整備等に寄与できることを知り、「森の世話人」として活動参加をさせていただく事になりました。
木材・木質素材を扱う企業として、森林での体験を通じ自然素材そのものや自然の厳しさを学び、森と街をつなぐ活動を続けていきます。

#くれなゐの森

参考文献

国土交通省近畿地方整備局 六甲砂防事務局