ビジネスの種
2025.10.22 UP

2025年の住宅トレンド
「ウェルビーイング住宅」ってなんだろう?

現代の暮らしに求められるのは、単なる「便利さ」や「デザイン性」だけではありません。
近年注目を集めているのが、「ウェルビーイング住宅」という新しい住まいの形です。心身の健康と幸福感を高めることを目的とした住宅の在り方が、今、多くの人々の共感を呼んでいます。

ウェルビーイング住宅とは?

「ウェルビーイング(Well-being)」とは、身体的・精神的・社会的に良好な状態を意味します。
つまりウェルビーイング住宅とは、そこに住む人が心地よく、健康的に、安心して、幸せに暮らせることを最優先に設計された住まいのことです。

なぜ今、人気なのか?

コロナ禍以降、私たちは家で過ごす時間が長くなり、「家は単なる寝る場所ではない」と気づかされました。心身の健康に直結する空間づくりへの関心が急速に高まり、ウェルビーイング住宅の需要が拡大しています。
また、近年フリーランスの増加やテレワークの普及などの働き方改革により、多くの時間を家で過ごす人が増えてきたことも、この流れを後押ししています。

ウェルビーイング住宅を叶える具体例

ウェルビーイング住宅と一言にいっても、決まった設計やスタイルはありません。
心地よさや幸福感は人それぞれ異なります。住む人にとって何が快適であるかを十分に検討し、それぞれに合った住まい作りをすることが重要です。
ここでは心身ともに良好に暮らすために有効な、具体的事例を4つご紹介します。

1. 自然光を取り入れた設計

自然光を豊富に取り入れることは、ウェルビーイング住宅の重要な要素です。
太陽の光は私たちの生活リズムを整え、気分を前向きにし、集中力を向上させる効果があるといわれています。特に午前中の太陽光はセロトニンの分泌を促し、精神の安定に寄与します。
リビングやダイニングに大きな窓や天窓を設けたり、光の拡散を考慮した内装材を採用したりすることで、光が差し込む開放的で心地よい空間が生まれ、心身ともに良い影響を与えてくれるでしょう。

2. 可変性のある間取り

家族構成やライフステージは、おおよそ10年ごとに大きな変化が訪れるといわれています。ウェルビーイング住宅では、この変化に柔軟に適応し、家の使い方や間取りを調整できる設計が重要です。
例えば、将来的に部屋数を増やせるようにしたり、壁を取り払って大空間にできるような間取りを採用したりすることで、その時々のライフスタイルに合わせた暮らしがしやすくなるでしょう。また、部屋の仕切り部分に引き戸を採用すると、隣り合う空間をつなげたり区切ったり、生活シーンに合わせても簡単に環境を変えることができます。

3. パーソナルスペースの確保

夫婦や家族といった親しい間柄であっても、適度に距離を保てる、プライベートな空間はとても大切です。仕事専用の書斎や、静かにリラックスするための個室など、それぞれが一人の時間を大切にできる場所を確保しましょう。
家族が集まるリビングには『ソシオフーガル』という考え方を取り入れるのもおすすめです。お互いの視線が合わない位置にソファやイスを置くことで、同じ空間の中で家族の気配を感じながらも、それぞれが自分の時間を過ごすことができます。

4. 断熱性・気密性の高い構造

壁や床に高性能の断熱材を取り入れることで、季節を問わず快適な室内環境を保ちます。温度差による身体への負担が軽減され、健康的な生活を送ることができるでしょう。冷暖房費の削減にもつながり、毎日の生活にとっても大きなメリットとなります。
また、結露の発生を抑えることで、カビやダニの繁殖を防ぎ、アレルギーなどの健康リスクも低減します。

ウェルビーイング住宅のメリット

ウェルビーイング住宅は、私たちの暮らしや人生に多くのメリットをもたらしてくれます。中でも代表的なメリットを3つご紹介します。

家族の心身の健康を維持できる👪

ウェルビーイング住宅は、家族の心身の健康維持に大きく貢献します。室内の快適な温熱環境は、ヒートショックのリスクを低減し、健康的な睡眠を促します。また、自然光の取り込みは精神的な安定に寄与します。これらの要素により、ストレスが軽減され、日々の暮らしがより豊かになるでしょう。
また、家族の一人ひとりがプライベートな空間を持てることで、心にゆとりが生まれ、良好な家族関係を築きやすくなります。

長く快適に住み続けられる🏠

ウェルビーイング住宅は、未来まで見据えた長く住み続けられる家であることもメリットといえます。適切にメンテナンスすることで、子どもや孫の世代まで住み続けられるところが大きな魅力です。
家族の思い出が積み重なっていく空間は、暮らしの安心感や心の拠りどころにもつながります。また、長く住み続けることで資源の無駄を減らすため、環境への配慮にも貢献できるでしょう。

不動産の資産価値を保てる💰

ウェルビーイング住宅は、不動産としての価値も高まりやすい住宅です。
高断熱・高気密・省エネ性能など、快適な暮らしを実現するだけでなく、住宅の基本性能がしっかりと備わっています。長期にわたって安心して暮らせるため、資産としての価値も維持されやすくなるでしょう。
まさに「暮らしやすさ」と「資産価値の両立」が叶うことから、将来的に住み替えや売却を検討する際にも、高値で取引される可能性があります。

ウェルビーイング住宅の指標となる認証制度も

「健康住宅 Lively7認証」とは?💡

快適な住環境に着目した、住環境の基準を提示するものさしとして誕生した認証制度です。
医学研究の視点から、心身の望ましい状態(=ウェルビーイング)に影響を及ぼす7つの領域を定義し、それらの評価基準をもとに物件を評価し、3段階のグレード(プラチナ、ゴールド、シルバー)で認定します。
本認証を取得している建物は、第三者による公正な評価を得ていると見なすことができ、不動産価値の向上や、健康で安全な施設運営の証明、SDGs・ESG活動の促進など、取得することで得られるメリットが多くあります。

ウェルビーイング住宅は、見た目の良さだけでなく、住む人の「本質的な幸福」にフォーカスした住まいです。健康・快適・環境・精神性といった多角的な視点から住環境を見直すことで、日々の暮らしは大きく変わります。
これからの住まい選びにおいて、「ウェルビーイング」というキーワードは、欠かせない指針となるかもしれません。

参考文献
【Lively7】 住宅にウェルビーイングという価値を