それ、できますよ
2023.03.13 UP

【国産材編】
ウッドショックの現状を
社内で聞いてみました。

前回の記事に引き続き今回は国産材について聞いてみました。

前回の記事に引き続き「ウッドショック」が叫ばれ始めてから約2年が経った今、どのようになっているのか現場をよく知る紅中社員に現状をインタビューしてみました。

【合板・繊維板編】

Q1 ウッドショックが始まってから一番対処に困った事ことを教えてください。

Q2 それを解決するためにどのようなことをしましたか?

Q3 今対処に困っていることを教えてください。

Q4 国産材の価格は2023年ではどう変化すると思いますか。

Q5 国産材の今後の展望を教えてください。

球磨ウッド事業部 Kさん

普段のお仕事は、工務店や、プレカット会社・家具木工・建材メーカー向けにSSD(球磨スギ・ヒノキ)やその他国産材の板材などを販売しています。

Q1:一番困った事

外国から木材が入ってこないため、国産材の需要が増加しましたが、需要が生産できる量以上になり、納期調整の対応に追われました。

Q2:解決方法

生産拠点を増やすために、全国各地で生産工場を探しました。素材と加工の生産箇所を分けるなどの検討もしましたが、全国的にキャパシティはいっぱいでした。また、素材供給の増産体制追いつかない状況であったため、調整に多くの時間を費やしました。

Q3:今困っている事

国産材の引き合いは全国的に増えてきています。そのため、製材工場も仕事の選択肢も増え、生産効率の良いものを重視した仕事の傾向があるように思います。そのため、加工の手間が多く掛かったり、コストの厳しいものは請けない状況があり、手間とコストがかかる仕事の依頼先が少なく、苦慮しています。

球磨ウッド事業部 Mさん

普段のお仕事は、無垢材を好む工務店などにSSD(球磨スギ・ヒノキ)の板材や、ベッドメーカーにすのこ用のSSD(球磨ヒノキ)の板材などを販売しています。

Q1:一番困った事

日本に入ってくる外国産材の量が減ったことで、その代替品として国産材の需要が増えました。特に、紅中が販売しているSSDの産地である熊本県は国内でも木材がよく採れる場所で、熊本県に対する需要は高まりました。その影響で、原木市場での丸太の価格が高くなり、それに伴い木材の仕入れ価格も上がったことです。

Q2:解決方法

製材工場に何度も足を運び、仕入れ価格が上がり方が急激にならないように調節しました。また、需要が高まったことで丸太の確保が難しかったため納期が読みずらかったので、仕入れ先やお客様と綿密に連絡を取り合い調節しました。

Q3:今困っている事

国産材の需要が増えても、製材する工場の数が限られているため、丸太を大量に伐り出したところで、板や柱に加工することができる量は変わらないため、販売できる量は変わらないことです。

Q4:国産材の価格は2023年ではどう変化すると思いますか。

価格は下降傾向に

アメリカの利上げによって新築着工戸数が減少したことなどの影響などで、外国産材の日本への輸入量も増えたことにより、国産材の価格は2022年後半にすでに下降傾向になっており、価格は下がるとの意見が多くなっています。
しかし、政府による国産材活用の推進や電気代の上昇、人件費などの要因から、ウッドショック以前の価格以下に下がる可能性は低いと考えられます。

Q5:国産材の今後の展望を教えてください。

出典:環境省ホームページ(https://ondankataisaku.env.go.jp/carbon_neutral/about/)

国が推し進めるカーボンニュートラルの動き

2020年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。
住宅メーカーの多くはカーボンニュートラルに取り組み始めており、これまで鉄骨造や鉄筋コンクリート造でつくられることが多かった建物を木造で建てる動きが見られます。

樹木は成長する過程で二酸化炭素を吸収し、炭素を内側に貯める特徴があります。炭素を取り込んだ樹木は燃やさない限り炭素を排出しません。つまり建物に樹木を利用することで炭素を長期固定することができるのです。
日本は世界でも森林資源が豊富な国です。「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」ためには、豊富な資源である国産材をより多く、より長く利用することが必要とされるでしょう。

大阪万博でも注目が集まる

2021年には東京オリンピックで使用された国立競技場が国産材をメインにして建設されたことなどで、国産材に対する注目度は上がりつつあります。
特に2025年に大阪で開催予定の大阪万博では、会場の中心に木のリング(大屋根)を建設すると発表されており、それを受けて大阪木材連合会が国産材を活用するように提案しています。
その他にも東京に大型木造オフィスビルが建設予定など、木造建築物の建設が増加傾向にあります。
木造建築物の増加とともに、国産材利用の活動も活性化する事が期待できるかもしれません。

参考:

脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律(通称:都市(まち)の木造化推進法):林野庁 (maff.go.jp)

公益社団法人2025年日本国際博覧会協会 (expo2025.or.jp)

大阪万博会場、大屋根に木材 木造建築で「世界最大級」: 日本経済新聞 (nikkei.com)

原油価格の推移(WTI/ブレント/ドバイ/OPECバスケット)|新電力ネット (pps-net.org)

法人・家庭の電気料金の平均単価の推移(特高・高圧・低圧別)|新電力ネット (pps-net.org)

今回のインタビューに協力してくれた社員の皆さん