第15期鴨川建築塾初参加!

2018/06/01
皆さん、こんにちは。
京都営業所の池嶋です。


今回は京都営業所の事務所を監修・施工管理して頂いた STAGE一級建築士事務所毛利様のお勧めで
会社の許可を頂き京都鴨川建築塾に参加させて頂きました。

年間10回の座学、現場見学、京町家見学と盛りだくさんのカリキュラムがあるとの事で楽しみと不安が
あります。
では、早速ご紹介致します。


「ひと・まち交流館京都」にて塾が開催されました。
この会の目的は木の家を共に学びましょうというものです。
平均年齢は38歳、出席者は塾生だけで18名、講師、事務局をいれて23名となりました。
思ったよりも平均年齢が低かったのが少し驚きです。工務店様、設計士様、大工様等がメインで
私のような流通人は一人でした。

冒頭に毛利様からガイダンスの説明があり、午前中は「住宅建築」元編集長、植久氏、
午後からは桜設計集団の安井昇氏の防火講演で、防火だけでなく工務店のコラボレーション
を教えて頂けるとの事でした。





植久塾長の講演AM10:00~AM11:30
主に今までの経験談が主体。
昔から大工様と設計士様とは敵対関係にあり、何とか出来ないものかと考えられ、
大工塾を作られたそうです。



建築家様、構造家様、大工様の実験を行われました。
阪神大震災での木造倒壊により木造が悪かったという木造反論者の糾弾にあったとの事。

大丈夫と言わせるためには数値が必要、その為、設計様、構造様、大工様とコラボして
自分達で実験されました。
当初は大工様が各々で考えた工法を持ち合い実験しておられました。自信があったのに
実験で動いてしまう現実、打ち崩される大工のプライド。そのような活動を繰り返すうちに
東洋大学様が実験を協力してくれる様になったとのことです。

 

やがて、四国の六車工務店様も参加される様になり、杉材での構造を独自で考えられてました。
何と、梁や棟にも背割りを入れられる工法で殆どひび割れが見れず、込栓工法でした。


また、構造様や大工様だけが苦労されているのではなく、瓦屋様も苦労されてました。

何かあるたびにたたかれたとの事。実は・・・瓦が悪いのでなく当時の設計者が悪かったとの事です。様々な瓦を造られ、中には隙間をあえて作った瓦まであり、常識を覆してました。

しかし、どんどん需要がなくなっていったのです。確実に説明をすれば大丈夫なのに。

今までの住宅業界は・・・1987年には着工160万戸。工務店様は効率を求めてきました。
浮かれていたのです。
地域を考える事、手間を惜しまない事を忘れてきた。
このような状態ではいけないという事が問題になっております。
時代の流れにより職人、建築家の手からシステム、施工技術の工夫がなくなってきた。
部品は製品とされパッケージ化。提供する側と使う側に分かれてしまったのです。
自分はどうなっていけばいいのか考えて欲しいとの事でした。

午前中ですでに問題意識が明確になり、危険度、また今後どうしていかないといけないのか
真剣に考えないといけないと感じました。



自己紹介10:00~12:30
午前の講演が終わった中での自己紹介が開催されました。
事務局の方から始まり全員自己紹介。遠いところでは鳥取県や高知県から来られた
大工様の存在に驚きました。危機感を感じておられるのと向上心が強いのだなと感心もしました。
私の番では京町家の事務所を改修した説明と多くの人に活用して頂きたいと思い、
皆さんにも是非見に来て頂きたい事も発表しました。
関心を持ってくださっている方はメモを取ってくださっていました。このつながりを深めていきます。

 

 

安井昇氏講演PM13:45~18:00
防耐火のエキスパートとの事。意匠、防火構造の桜設計集団を設立されていて、
そこに工務店、NPOの五種類の集合体として同じ事務所で組織されており、
一気通貫で話がまとまる会社機能とされていました。また早稲田大学の研究員でもあられます。
この方の素晴らしいところは、。京町家の改修工事に於いて不燃材を求められたが、
町並み、風景が変化してしまう為、実際に実験され、
土壁、真壁、軒裏現わしを防耐火面から見直し適合されたところです。
準防火地域に於いて3階建ての木造で木の現わしを実現されました。目からうろこでした。

火育
実際に燃やしてみて学生たちに理解をさせておられます。
焼き杉を作る工程、3枚の杉を三角形に組み合わせて燃やす。
煙突効果により火は下から上へ燃え上がる。空気の流れと火の流れは同じである為、
コントロールすれば問題ない。
仕上げにバラすと火が消える。開放すれば熱が逃げて火が消える原理。
木材は水分があるので水分がある限り燃えきらない。
これは紙鍋と同じ原理・・・言われてみてなるほどと驚愕しました。

またなんと、普通の15mmの杉板で12mmの合板とPB、グラスウールを足して準耐火45分の
大臣認定を取得されたのです。
今まで、世の中の当たり前という感じで窯業系しか企業としては
もうからないために認可を取らなかったとの事です。
逆に木材は取れないのでなく、皆取れる事を知らず、だれも取らなかったのです。
それを林野庁に協力させ、取らせるなんてすばらしい方と感じました。
根本的に木は燃えるのですが、コンクリートやモルタルも破裂するのです。
要は一斉に燃えるのを減らしてあげれば一酸化炭素中毒にならない、
厚みがある木材ならばゆっくりと逃げれる。その間に消防は間に合うのです。
だから昔の家は隣家との距離をとったり逃げ道を多くとる為入口をたくさん作り、人命を
考えた作りになったそうです。
「燃えない」というよりも「燃えぬけない」という建築が大切なのです。
では、京都の町家はどうか・・・土壁は破裂するモルタルやコンクリートよりも安定はしているが
窓は防火ガラスではないので危険であるという事です。
燃えぬける危険性を安井氏と国と早稲田大学は3億をかけて3度の実験をされました。
この発想が他の人では思いつかない素晴らしいポジティブな発想と思いました。

 

燃えぬける実験
基本的に内装制限がない、学校をイメージされ実際に火をつけた実験をされました。
結果・・・フロートガラスはすぐに割れちり、アルミサッシはわずか20分で溶けました。
不燃材料と思っていてもガラス、アルミは十分危険だったのです。
2Fのガラスが燃え広がり内装が燃えてしまっています。
火に強いと思われがちなRC造でも簡単に燃えてしまう事が良く理解出来ました。

 

木質で行えば燃え広がらない

木は可燃物・・・しかし、上部を不燃の石膏ボード(燃えぬけるのに12.5mmで15分かかる)
にして上昇加熱への対応をし、横への輻射熱は上昇加熱より比較的低いので
木留により水分を含んでいるものを使用すれば燃え広がらない。



このようにふんだんに木材を使用した建築物が準防火地域対応で立てられているのに驚きです。



安井氏がおっしゃる「住宅の火災における重要な定義付」として
  • 燐棟火災は燃えぬけないのが重要
  • 内部火災は燃え広がらないのが重要があります。
【対策】として大切な事

出火源(これは人災)→内装(コントロールしてあげる)たとえばキッチンコンロの廻りには
キッチンパネル、石膏ボードで囲う。
しかしその1m以内に可燃物は置かない事→火災を大きくしない工夫が必要・・・①出火の可能性が
高い部屋はどこかをしる。②火災を早くみつける。

【これを基に】

安井氏の住宅の特徴・・・木材を見せながら火災に負けない木造を作られる。
厚床45mmを使用(燃えぬけるのに45分かかる)、野地板36mm燃えぬけにくさを実現。
開口部の木建にはシャッターを入れて対応されておられます。

安井氏が大臣認定を取得された一例



所感

今までの固定概念を変えて頂けました。また、木のすばらしさが良くわかった反面、
世の中に伝わっていない事、知らない人が多いという事が良く理解出来ました。
安井氏は法律で厳しいと思われる所を理解し、上手に工夫され対応されています。
それだけでなく実験をし根拠をもって国の機関を理解させています。
また、京都に於いて千本格子を付けたほうが防火性能が上がる事を立証されました。
実験する事によって皆が理解でき、国も理解されていない事に気づかれたところが
なおすごいと感じました。
また、この度、様々な建築家様、工務店様、大工様と知り合えるチャンスが出来ました。
この機会を大切にしていきます。

鴨川塾の期間内で、どこかで建物改修が完成してから、
事務所会場を使ってほしいと毛利様にもお願いしましたところ、
毛利様も非常に賛同頂けました。
情報発信し彼らが集客のきっかけにもなってくれたらなと思います。

 

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